スペーシング(横)

これから配信しようという楽譜をチェックしていて、赤を入れることが意外に多いのが、このスペーシングです。

Finaleはある意味とても気の利いたソフトで、音符や歌詞やコードが重なったりぶつかったりすることのないよう、混んでいるところに広いスペースを取ってくれる「自動スペーシング」という機能があり、それがデフォルトで働くようになっています。

しかしこれが働いた楽譜は、例えばこんな風になります。

これだけを見ると「何が問題なの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ではここに、左手に4分音符を入れてみましょう。

左手の下に、1拍ごとに赤矢印を入れてみました。
本来なら均一であるべき4分音符がバラバラの幅になってしまっているのがわかるかと思います。
音楽の時間的な流れとしてはすべての拍が均等であり、楽譜を読む目の流れも同じスピードでスムーズに進みたいのに、これでは演奏者が、ブレーキとアクセルが唐突に踏まれる感じを受けてしまうのです。
特に初心者の方がこのような楽譜で演奏した場合、最後の右手全音符の小節で、演奏がいわゆるハシってしまったりするのも楽譜にも責任の一端があるかもしれません。
歌詞があると、スペーシングはもっとひどいことになることも多々あります。

では、自動スペーシングを切って、すべての小節幅、拍の幅を同じにすればいいかというと、それはそれで次のように窮屈になってしまいます。

窮屈さを回避し、それでもあまり不自然にならない程度にスペーシングすると、このような感じになります。より見やすい、演奏しやすい楽譜を作るために、スペーシングに気を遣い、ちょうどいい「塩梅」を探っていくことはとても重要です。

人さまに見せる楽譜を作る以上、この程度のことを面倒くさい、とは言えません。
手書きで浄書をしていた先人たちは、ここまで配慮していた!!というお話。→

Finaelでのスペーシングの設定と手動での調整の仕方→☆